NHK問題に捧げるアナロジー のようなもの

見聞きした情報を元にこんな話を考えた。


アメリカの某放送局でダーウィンの進化論を扱った科学ドキュメンタリー番組が制作された。
番組を制作した下請け会社が親会社である放送局で試写をおこなったところ、放送局の担当部長が番組を問題視、下請けに修正を求めた。
確かに番組はダーウィン固執するあまり、ダーウィン進化論が後世の研究によって修正されていることに全く触れておらず「ネオダーウィニズム」「遺伝子」「突然変異」などへの言及もなく問題があるといえばあるものであった。
担当ディレクターは言う
ダーウィンについてのドキュメンタリーなんだからダーウィンが唱えた理論に的を絞るのは当然。あとは番組を観て興味を持った視聴者が各自調べて知識を深めればいい」
しかし担当部長の問題意識は全く違う方向を向いていた。
彼はまず新たに科学者のインタビューを追加することを求めた。だが彼が指定した人物は進化論についての最新の知識を有する科学者ではなく、キリスト教根本主義者で創造論を提唱する「科学者」であった。
担当部長は言う
「議論があり、宗教的にもナーバスな問題については多角的な見方を提示するのは当然。一つの説に対して反対の見識をもつ人物の意見を提示してバランスをとっただけ。そもそも番組が科学的、宗教的に偏向するのは良くない」
さらに彼は放送前日にキリスト教原理主義者の政治家と面談して番組の内容を説明し、その政治家から「科学的にも宗教的にも中立公正な番組をお願いしますよ」と言われる。
結局、番組の修正作業は放送当日まで続き、最終的に「人間が猿から進化した」という趣旨の文言、図表が削られ、44分だった番組は40分の番組として完成した。


「中立公正」な番組作りって難しいね。